5月中旬、本の出版イベントのために来日したステファニーさんが、
リリーさんとゆりごろう王国のみんなに会いに来てくれました!
そんなステファニーさんとリリーさんに、お二人の出会いから、
プロジェクトや動物たちへの想い、作品作りについてお話を伺いました。

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ステファニーさん、今日はリリーさんのお家にいらっしゃってみて、いかがですか?

ステファニー
ユリコとは先日、ATELIER 表参道(旧H.P.DECO 表参道)で会ったのが初対面だったのですが、会う前はとても緊張していました。でも、実際にお会いしたユリコは、とても優しくてスイートで、スタッフをはじめとする周囲の人々への優しい気遣いが伝わってきて、一気にファンになりました。今日もご自宅におじゃまするということで緊張していたのですが、とてもウエルカムな雰囲気で居心地良くしていただいているので、楽しく過ごしています。それに、お部屋のインテリアや小物などがとても素敵で、ゆりごろう王国のみんなとも会えて、とてもエキサイティングしています!
リリー
恥ずかしい〜!

お二人の出会いについて教えてください

リリー
4年前に出演した映画『マチネの終わりに』のニューヨークロケでお世話になった上野朝子さんが、ステファニーとお友だちで、私が『コーラル&タスク』が大好きということで紹介してくれたんです。ステファニーも動物が大好きで、二人はよく似ているから、きっと気が合うと思うって。
ステファニー
その通りです! アサコは、『コーラル&タスク』の初期のころから応援してくれている大切な友人で、家族ぐるみのお付き合いをしています。
リリー
私は『コーラル&タスク』の、大人っぽくて洗練されているけど、ちょっとシュールで味があって、でもナチュラルで実用的なところが大好きなんです。H.P.DECOで初めて見た時からとても惹かれて、少しずつ、ポーチやクッション、キルトから小さいお人形まで集めています。
ステファニー
とてもうれしいです!

このプロジェクトはどのようにスタートしたのですか?

リリー
ステファニーとは、動物のためならなんでもしたい!ということで通じ合って、私が理事をしている『ハナコプロジェクト』の話をしたら、ぜひ力になりたい!と言ってくださり、コラボしましょう!というところから始まりました。
ステファニー
私にとって動物愛護というのはとっても大事で、すごく大切にしてきたことなんです。最近は、売り上げの一部を寄付するとか、動物法案の大切さを言葉で表現することがメインになってきていたので、このようにプロジェクトとしてスタートから参加できる、それも私の作品で実現できる、コラボレーションできるというのは本当に少ない機会なので、とてもうれしかったです。

どのようにしてこのプロジェクトを進めていったのですか?

ステファニー
まずはたくさん写真を送ってもらって、いろいろな情報をたくさん聞いて、ユリコとも話し合いながら、フィルターを通して表現していくというプロセスを取っています。そして、動物たちのドローイング(製図)を描き、アイデアを書いて伝えて、ユリコからフィードバックをもらいながらどんどんそれを絞っていくというのを繰り返していきました。

大事なプロセスとしては二つあります。まずはデザインを決めるためのスケッチ。次に刺繍のファイルを作るプロセス。例えば、刺繍糸の間隔の広さなど細かい部分まできちんと理想に近い形にしなければならない。その二つがとても大切なので、何回もやり取りしながら決めていきました。特に刺繍ファイルのプロセスについては、糸は繋がっていてフォトショップのように簡単に消したり変更することができないため、そこを事前に説明しました。
いちばん初めに取り組んだのは、“ファミリー”というゆりごろう王国のみんながそろっているポーチです。それぞれの動物の糸や、おもちゃの色など、この色合いでいいのかどうかを確認するために、まず一つだけサンプルを作りました。
リリー
zoomで、朝子さんやコーラル&タスクのブルックリンのスタッフでステファニーの日本語通訳も努めている明日美さんにも参加してもらい、何度も打ち合わせをしました。プロジェクトのスタートから完成まで2年越しかな。ステファニーの本来の仕事もあるので、そのじゃまにはならない範囲で、じっくりと時間をかけて、後悔のないものを作りましょうと決めていたので、完成品を見た時は感動しましたね。

7タイプのポーチがありますが、特にこだわっている点などはありますか?

ステファニー
最初の、“ファミリー”のポーチを作った時は、良いものを最初に作り上げることが、そのほかのものに影響するため、ものすごく考えましたし、時間もかけました。リネンは一反が15メートルあるのですが、刺繍のフレームは40センチで、色ごとに刺繍していく過程(※)で少しずつ布が縮まっていったり、どの刺繍もまったく同じように縮まるわけではないので、機械だとしても若干ズレてきてしまうんです。それを計算しながら、ちゃんと良いものを仕上げるというプレッシャーがありました。

また、『コーラル&タスク』のポーチは手触りが少し固めなんですね。ただ、今回はユリコがもう少し柔らかい方が好きとおっしゃったので、インドの工場のマネージャーに相談して、3つのサンプルを作ってもらい、その中でいちばん好きなものを選んでもらいました。それが結果的にすごくいい仕上がりになって、とても良いコラボレーション作品になったと思います。
リリー
私は『コーラル&タスク』が大好きなので、ステファニーが良ければそれでいいと思ったのですが、ステファニーは「とにかくユリコが納得できるものにしたい!」と言ってくれて、布や糸の色合いから、糸の強さ、刺繍の密度っていうのかな。波打っている感じの濃淡までとにかく細かく、いろいろなサンプルを出してくれて、その丁寧で慎重なやり取りに感動しました。
ステファニー
自分のペットって自分が思うのと他人から見るのでは違って見えるので、ユリコがゆりごろう王国の動物たちをどう見ているのか、どうやったらちゃんと表現できるのかをいちばんに考えましたね。
リリー
ジッパーの部分は、結果的には『コーラル&タスク』と同じになりましたが、実はほかの色も試してみたんです。でもやっぱり、この黒とリネンの組み合わせが大人っぽくていいねということになりました。とにかく、センスが絶妙なんですよね。布も徹底してリネンの生の色を生かしていて、そこが素敵だなと思っています。ゆりごろう王国のみんなが、私が昔から大好きだった『コーラル&タスク』の作品になって、本当に夢のようです!

お二人、まだ直接会ったのが2回目とは思えない雰囲気です

リリー
zoomで何度もやり取りをしていたというのもあると思いますが、ステファニーとはどこかで“ソウルメイト”的な思いがありますね。生まれた国も話す言語も違いますが、きっと魂は近いはず!と思っています。
ステファニー
ありがとうございます!(日本語で)
リリー
出会えたことに感謝ですね。これからもゆりごろう王国や『ハナコプロジェクト』とのコラボレーションは続けていただけるとのことなので、楽しみです!
ステファニー
イエス!
リリー
次はキルトを作りたいねって話していて、いまからわくわくしています。

最後になりますが、ステファニーさんはどのような方にこのポーチが届いて欲しいとお考えですか?

ステファニー
私が希望するのは、このポーチが可愛いから買うだけではなくて、ポーチのデザインを通して、なぜこれが作られたのかという背景までがポーチを手に取ったみなさんに伝わり、それがエデュケーショナルな感じになったらいいなと思っています。

※『コーラル&タスク』が使う刺繍の機械にはヘッド(head)と呼ぶパーツが18個(より小さい刺繍の機械もあり、その場合ヘッドは12個)あります。このヘッドには、刺繍針があり、その上には刺繍糸がかけられていて、すべてのヘッドが一色ずつ同時に同じ刺繍をします。それぞれのヘッドが動く幅は縦40cm x 横 75cmの範囲内です。18個のヘッドが一通りの流れで刺繍できるリネンの長さは、約7.2メートルです。ちょうどこの写真で機械にかけられているリネンの長さが約7.2メートルです。『コーラル&タスク』が使うリネンの長さは通常15メートルほどなので、18個のヘッドを使って2回に分けて刺繍が施されます。


インドにあるコーラル&タスクの工場です

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